耳鼻と臨床
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原著
当センターを受診した難聴を伴う重複障害児のコミュニケーション指導についての検討
山下 道子花井 敏男中川 尚志小宗 静男
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2014 年 60 巻 2 号 p. 47-54

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抄録

平成 24 年度に福岡市立心身障がい福祉センター療育 2 係に難聴を伴う重複障害児として在籍し、補聴器装用開始から 1 年以上経過していた 43 例について、補聴器装用状況・コミュニケーション状況を検討した。重複障害児では、医療ケアの優先や聴力の経過観察のため難聴診断から補聴器装用開始までに時間がかかる傾向がみられた。補聴器装用を開始しても、場面装用や装用中止となる例が多くみられた。コミュニケーション手段として音声言語を用いていたのは、聴力レベルが 90dB 未満の児であった。110dB 以上の児は手話を用いていた。精神遅滞の程度では、軽度から重度の児で、音声言語や手話などの言葉でのやり取りが可能であった。文字や絵・写真・身振り・指さし・実物でのコミュニケーションも大切な方法であった。最重度の児で、本人からの表出が困難な場合、周囲が表情や体動の変化を読み取りコミュニケーションを行っていた。

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© 2014 耳鼻と臨床会
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