抄録
耳鼻咽喉科医は、日常診療において、多くの口腔、咽喉頭粘膜病変を経験する。その中で尋常性天疱瘡は、皮膚、粘膜に病変が認められる自己免疫性水泡性疾患である。難治性で予後は悪く、早期診断、初期治療が重要である。今回、われわれは口腔、咽喉頭、食道内に発症した尋常性天疱瘡の 1 例を経験した。治療開始当初は、炎症性疾患を疑い治療していたため、確定診断に 3 週間を要した。確定診断後、ステロイドを増量投与した結果、以後は口腔、咽頭粘膜病変は寛解した。耳鼻咽喉科医が口腔、咽喉頭粘膜病変を診療する際には、頻度は低いが難治性であり、早期診断、治療が必要とされる本疾患を鑑別疾患として念頭に置くべきである。また本疾患の診断、治療に当たっては、皮膚科をはじめ他科と連携し、治療にあたることが必要である。