抄録
気管食道瘻は、先天的にみられるものが多いとされているが、後天性要因によって生じることもある。頸部食道癌など腫瘍性に生じるものが多いが、気管内挿管や胃管等の不適切な管理による圧迫により、局所の壊死が生じて瘻孔形成に至ることがあり、注意が必要である。今回、慢性腎不全の透析治療の継続を希望して飛び込みで受診した外国人患者に、飲水時に必発する原因不明の咳嗽がみられたため、精査を行った結果、医原性と思われる気管食道瘻を認めた。母国では、原因不明の経口摂取障害として、数カ月にわたる経鼻胃管管理が行われていた。また、呼吸不全にて救急搬送され、長期気管内挿管が行われていた履歴もあった。喉頭内視鏡上は原因不詳であったが、嚥下造影検査にて気管食道瘻が簡単に同定できた。日本ではおよそ起こり得ないことと思われるが、医療過疎地域に居住歴があり、先行する医療行為があって、原因不明の咳嗽が生じた患者の鑑別疾患としては一応念頭に置くべきだと思われた。