抄録
嗅覚障害の治療成績が近年進歩したとはいえ、外傷性嗅覚障害(PTOD:post-traumatic olfactory dysfunction)の治療成績は依然として低いままである。当科を受診した嗅覚障害患者の実態を検討し、PTOD の今後の治癒率向上に向けてその臨床像を把握するため、当科を受診した PTOD 患者について臨床的検討を行った。対象は、2010 年 1 月から 2013 年 12 月までの 4 年間に、嗅覚障害を主訴として当科を受診した患者 132 例、および、そのうち PTOD と診断された 34 例(25.8%)である。嗅覚障害の程度は、正常 1 例、高度低下 1 例、脱失 32 例(94.1%)であった。意識障害や頭蓋骨骨折、脳挫傷の有無と年齢や各嗅覚検査結果には因果関係は認められなかった。34 例中 9 例(26.5%)で治療後に再度 T&T オルファクトメトリーを施行して治療効果が判定できたが、改善 2 例(22.2%)、不変 7 例であった。当科における治療成績も諸家の報告どおり決して良いとは言えず、さらなる研究が必要である。