抄録
九州大学耳鼻咽喉科関連施設のうち、役割の違う 3 つの病院において、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を行った副鼻腔疾患(腫瘍を除く) 584 例を調べ、ESS における好酸球性副鼻腔炎症例の割合を算出した。2003 年 4 月から 70 カ月間における地方病院(祐愛会織田病院、佐賀県西部)での好酸球性副鼻腔炎の割合は 375 例中 7 例で 2 %だった。2011 年から 2012 年における都市部病院(九州中央病院、福岡市南区)での好酸球性副鼻腔炎の割合は 47 例中 7 例で 15 %だった。2009 年から 2014 年における九州大学病院でのその割合は 162 例中 56 例で 35 %であった。また、1 年間における人口 10 万人当たりの発症率を推定すると、地方では 0.75 人で、都市部でのその発症率は 3.1 人となり、地方よりも都市部の方が発症率は高かった(相対危険度 4.1)。また、医中誌 Web 上で好酸球性副鼻腔炎を検索し、その収載誌発行年別論文数を調べたところ、その論文数は増加しており、疾患概念の普及とともに、その診断数の増加が推測された。