耳鼻と臨床
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症例報告
発症後 8 時間後に窒息に至った急性喉頭蓋炎の 1 例
新里 祐一吉田 崇正園田 世里夏山内 盛泰
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2016 年 62 巻 5 号 p. 171-175

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抄録

急性喉頭蓋炎は急激に進行する可能性がある感染症であり、時には数時間の単位で呼吸困難が進行する疾患である。今回われわれは咽頭痛の症状が発症してから 8 時間後に窒息に至ったものの、この病態の知識があった家族の医療関係者がその疑いを持って救急外来を受診させていたため救命し得た急性喉頭蓋炎の 1 例を経験したので報告する。症例は 50 歳、男性。主訴は咽頭痛であった。喉頭内視鏡検査にて確定診断がついた直後に窒息状態となった。ミニトラックⅡ®を用いて緊急に気道確保を施行した後、外科的切開を行った。術後は抗生剤とステロイドを使用し、比較的速やかに喉頭蓋の腫脹は軽減した。急性喉頭蓋炎は耳鼻咽喉科医にはよく知られた疾患であるが、耳鼻咽喉科医以外の医師を含めた医療関係者にその危険性が周知されているとは言い難い。医療関係者に急性喉頭蓋炎の知識を共有してもらうように耳鼻咽喉科医は努力する必要がある。

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© 2016 耳鼻と臨床会
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