耳鼻と臨床
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症例報告
菊池病の 2 例
吉福 孝介松崎 勉西元 謙吾朝隈 真一郎大野 文夫
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2016 年 62 巻 6 号 p. 218-224

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抄録

菊池病は、1972 年に菊池らにより報告された疾患で、組織球性壊死性リンパ節炎とも呼ばれている。数週間の頸部リンパ節腫脹と発熱を訴え、抗生剤が無効で、白血球数が低下し、LDH の上昇がみられれば、本疾患が強く疑われる。今回、われわれは、頸部腫瘤形成を主訴とした 27 歳女性と 17 歳男性の菊池病の 2 例を経験した。穿刺吸引細胞診にて確定診断後に、ステロイドを投与したところ、病変の速やかな改善を認め、現在のところ経過良好である。菊池病は約 4 %に再発がみられるものの発病後 1 − 2 カ月で治癒し、予後良好な病気とされている。しかしながら、高熱が持続し汎血球減少を呈し、不幸の転帰をとった症例などの重症例も存在することから、頸部リンパ節腫脹を来した症例に遭遇した際には、菊池病も念頭に置き、診療に携わる必要があるものと考えられた。

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© 2016 耳鼻と臨床会
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