2016 年 62 巻 Suppl.1 号 p. S51-S57
当科では進行下咽頭癌に対し、導入化学療法を用いた治療法の振り分けによる喉頭温存治療を行ってきた。導入化学療法が奏効(PR 以上)した場合、放射線療法または化学放射線療法を行った。また非奏功(SD 以下)の場合は手術を行った。2000 年 1 月から 2014 年 12 月の期間に、この治療を行った進行下咽頭扁平上皮癌 206 人を解析した。導入化学療法後、132 人(64%)が奏功であり放射線治療を受けた。また 74 人(36%)が非奏功であり手術を施行した。5 年全生存割合は 59.7%(放射線群 64.4%、手術群 49.6%)であった。喉頭温存割合は 58.7%(放射線群 77.9%、手術群 25.3%)であった。Ⅳ期の患者が大半を占める中で導入化学療法は良好な治療成績を示した。また喉頭温存割合についても良好であった。導入化学療法に基づく治療法の振り分けによって適切な治療が選択されたと考える。