2017 年 63 巻 5 号 p. 172-177
症例は、頸部打撲後から嗄声が出現し受傷 1 カ月後も持続するため当科を受診した 56 歳、男性。初診時に気息性嗄声を呈し、声帯および仮声帯の腫脹、発声時の声帯前後径の短縮を認めた。CT では甲状および輪状軟骨に縦方向の軟骨骨折を認め、右甲状軟骨板が内陥し前連合を圧排していたため、受傷 2 カ月半後に局所麻酔下での観血的甲状軟骨整復術を施行した。チタン製ミニプレートを用いて甲状軟骨を固定したが、固定ネジに緩みが生じたため、ナイロン糸およびシアノアクリレート系接着剤でミニプレートを固定した。術中に音声は改善し、手術 1 年後においても整復位置および音声の改善は良好に維持されていた。近年、喉頭外傷に対してチタン製ミニプレートによる整復が行われるようになったが、ミニプレートの固定は必ずしも容易とはいえない。シアノアクリレート系接着剤の併用により整復固定を容易に行うことができ、再偏位のリスクを軽減できる可能性がある。