2017 年 63 巻 6 号 p. 215-222
症例は 60 歳、男性で、5 年前から左側頭部の腫瘤を自覚していたが、増大してきたため近医を受診し、2016 年 7 月初旬に当科紹介となった。局所所見では左外耳道前方から側頭部にかけて索状の腫瘤を認めた。MRI 検査では、索状の構造物を認めた。浅側頭動脈の肥厚を疑い、9 月下旬に全身麻酔下摘出術を施行した。病理組織学的検査に ImmunogloblinG4(IgG4)関連血管炎の診断であり血清 IgG4 も上昇していた。IgG4 関連血管炎の報告としては腹部大動脈、腸間膜動脈、脾動脈、椎骨動脈周囲、冠動脈などがあるものの、浅側頭動脈に発生した IgG4 関連血管炎の報告は渉猟できなかったことから、まれな疾患であると考えられた。