2018 年 64 巻 1 号 p. 1-6
耳硬化症に対するアブミ骨手術の成績は非常に良好であるが、術前諸検査により耳硬化症と判断し手術的にも問題なかったにもかかわらず、2 度の聴力改善手術でいずれも術後聴力改善が得られなかった症例を経験した。2 回目の手術の際、初回手術で留置したテフロンピストンは正しく位置しており、ツチ骨・キヌタ骨の可動性も良好であったため、側頭骨 CT を見直すと、正円窓の骨性閉鎖を疑う所見を認めた。正円窓の骨性閉鎖は非常にまれではあるが、骨性閉鎖の程度によっては、手術による聴力改善が乏しいとの報告がある。耳硬化症では前庭および蝸牛周囲の骨吸収像に目が行きがちだが、アブミ骨手術を行う際には正円窓の所見にも気を付ける必要があると考える。