2018 年 64 巻 4 号 p. 151-157
今回われわれは、両側頸部リンパ節腫脹を初発症状とした骨髄肉腫の 1 例を経験した。 患者は 51 歳の女性である。経過中急性骨髄性白血病を併発し、免疫学的検査、染色体検査によりフィラデルフィア染色体陽性の混合表現型急性骨髄性白血病と判明した。本症例に対し化学療法および末梢血幹細胞移植が施行されたが、移植後の急性 graft versus host disease(GVHD)を契機とした肝膿瘍および敗血症性ショックのため、治療開始から 1 年半後に死亡した。骨髄肉腫と急性骨髄性白血病の併発はしばしばみられるものであるが、発症初期の症状は頸部リンパ節腫脹のみであることも多く、通常の細胞診や病理組織学的検査のみでは診断がつかないことも多い。そのため診断の遅延や誤診に伴う不適切な治療例も散見される。予後も非常に悪いため、可及的早期の発見、診断確定が一層重要となる。