2019 年 65 巻 1 号 p. 25-30
症例は 50 歳代、女性。小学生の時アデノトミーを受けてから自声強聴、呼吸音聴取、違和感を自覚し、1 年前から強い苦痛となってきたため前医より当科紹介受診。オトスコープにより外耳道に放出される音を聴取したところ、患側で歪みをもって増強していることが確認され、仰臥位においても同様に聴取された。耳管咽頭孔の所見は、健側に比べ患側の後唇が明らかに小さく、耳管咽頭孔の拡大も見られた。側頭骨 CT にて、患側の耳管は、冠状断、水平断のいずれでも、全域に含気が見られた。骨部耳管の拡大を示す側頭骨形態異状の報告は、外耳形態異状、Klippel-Feil syndrome での合併例などが少数あるのみであり、極めてまれな疾患であると考えられた。