耳鼻と臨床
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原著
反復する耳漏を主訴とした穿孔性慢性中耳炎に対する鼓室形成術術後成績
熊井 良彦伊勢 桃子折田 頼尚
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2021 年 67 巻 6 号 p. 361-366

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抄録

抗生剤の改良により、近年慢性中耳炎は重篤化しない傾向にあり、反復する頑固な耳漏が問題とされる症例は減少しているが、薬剤耐性菌の増加で、保存的加療では、耳漏が完全に停止しない症例が存在するのも事実である。このような、頑固に反復する耳漏を認める慢性中耳炎に対する手術の主な目的は、耳漏の停止と聴力の改善である。特に耳漏停止目的としての手術の適応や、鼓室形成術のみならず、乳突削開術を合わせて行うかどうかなど術式の詳細に関しては、はっきりとしたコンセンサスが得られていないのが現状である。当科では、保存的加療に抵抗性の難治性耳漏を呈する慢性中耳炎に対しては、耳漏停止を最優先に、できる限り聴力改善も目指した手術を積極的に行ってきた。術後成績を検証し、今後の治療方針決定に役立てたい。

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© 2021 耳鼻と臨床会
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