2023 年 69 巻 2 号 p. 139-144
症例は 73 歳、男性、嗄声を主訴に受診した。左声帯白板症の経過観察中、初診から 13 カ 月後に右声帯前方にポリープ様腫瘤が出現し、全身麻酔下での切除生検時の病理所見と術後の画像診断で紡錘細胞癌(T1aN0M0)と診断した。切除断端が陰性であったため、追加治療は施行しない方針とした。治療後 1 年 6 カ 月経過し、再発なく経過している。紡錘細胞癌は扁平上皮癌と紡錘形細胞の 2 相性細胞で構成されるものであり、扁平上皮癌の亜型とされている。頭頸部領域では発生部位は喉頭が最多であるが、その発生頻度は喉頭悪性腫瘍の 1%程度とまれである。喉頭紡錘細胞癌はポリープ様、外向性発育を示すことが特徴であり、良性病変との鑑別が重要である。治療は手術を施行されることが多いが、症例数が少ないことから放射線治療や薬物治療のエビデンスが乏しく、治療標的を含む分子生物学的な特徴の解明が必要である。