2023 年 69 巻 2 号 p. 134-138
放線菌症は Actinomyces 属の感染による炎症性疾患である。近年では局所炎症、疼痛を主とする急性型は減少し、腫瘤形成を生じる慢性型が増加している。頭頸部に好発するが、喉頭病変は極めてまれとされる。今回われわれは喉頭放線菌症の 1 例を経験したので報告する。症例は 71 歳、女性。2 カ 月前からの嗄声を主訴に紹介受診した。喉頭内視鏡にて声門部に壊死様白色腫瘤および左声帯麻痺を認め、悪性腫瘍との鑑別を要する臨床所見であった。同部から組織生検を行い喉頭放線菌症と診断した。左声帯麻痺は炎症性変化と考えられた。アモキシシリンを 8 週間内服し、以後声帯麻痺は残存したものの再発なく経過している。本疾患は頻度が高くないため往々にして診断に苦慮する場合がある。 腫瘤性病変を確認した際に本疾患も念頭に入れることで早期診断につながると考えられる。