2025 年 71 巻 3 号 p. 132-138
小児甲状腺分化癌である濾胞癌は非常にまれな疾患であり、術式や術後の放射性ヨウ素内用療法(RAI)の適応や期間を含め、治療方針の判断に迷うことがある。今回、甲状腺半葉切除後に肺転移を来し、補完全摘後に RAI を行った症例を経験したので報告する。症例は 10 歳女児で、前頸部腫脹を主訴に近医を受診し、当科に紹介受診となった。超音波検査では、甲状腺右葉に長径 22mm 大の辺縁低エコー帯を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診では濾胞性腫瘍が疑われ、インフォームド・コンセント(IC)を得た上で、経過観察の方針となった。初診から 8 カ月時点での超音波検査で腫瘍の前頸筋群への浸潤を認め、甲状腺濾胞癌の疑いで甲状腺右葉切除術、右中央区域郭清術を施行した。術後 3 年目の CT 検査では肺転移が疑われたため、甲状腺補完全摘を行い、RAI を施行した。現在、術後 RAI を 2 回施行してから 1 年が経過しているが、Tg 値の増悪なく再発も認めていない。