耳鼻と臨床
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新しい鼓膜麻酔法
イオントフォレーゼ鼓膜麻酔法
長谷川 誠野口 明彦小林 秀紀奥野 秀次斎藤 洋三
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1977 年 23 巻 5 号 p. 704-706

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抄録
鼓膜の麻酔法としては, 従来, 鼓膜切開を行おうとする部位に塩酸コカインやリドカインに浸した小綿花または小ガーゼを密着させ, 無痛効果を得ようとする方法がとられてきた. しかしこの方法では密着させようとするときにすでに患者が痛みを訴えたり, うまく密着させても充分な麻酔効果を得ることがなかなかできず, 必ずしも効果的な鼓膜麻酔法とはいい難かつた. 特に子供ではむしろ麻酔なしで行つた方がやりやすいとさえ言われ, 無麻酔で鼓膜切開が行われるケースが多い.
今回紹介するイオントフォレーゼ鼓膜麻酔法 (イオン浸透鼓膜麻酔法) は, 特殊な装置を必要とはするが, 比較的簡単で患者に苦痛を与えることなく短時間で確実に鼓膜を麻酔することができる優れた鼓膜麻酔法である. この方法は日常の耳鼻咽喉科の臨床に充分に貢献しうるものであると確信している. 本論文ではその方法について, 多少詳しく述べてみたいと思う.
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