耳鼻と臨床
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[第14回頭頸部癌懇話会:甲状腺分化癌治療の問題点]甲状腺分化癌の予後因子
海老原 敏
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1990 年 36 巻 5Supplement4 号 p. 886-891

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抄録

甲状腺癌の予後はその病理組織型によるところが大きいことは一般によく知られている. この甲状腺癌のなかでも緩徐な発育で長い経過を辿る乳頭癌, 濾胞癌の13年~27年経過した自験例で, Kaplan-Meier法による15年, 20年生存率からみた予後因子について検討した. 性, 年齢, TNM, 病理組織型の因子でCox重回帰生命表法による多変量解析をおこなつた結果, 年齢の因子がリスク比38.47と極端に大きく影響し, そのほかの因子はT, Nがそれぞれリスク比が1.90, 3.05であつた. これまでいわれていた男性の予後は不良であるということは今回の結果からは得られなかつた. 甲状腺分化癌の予後因子を考えるときに年齢の因子が余りにも強すぎるため, 症例数が十分にあれば年齢を幾つかの層に分けた上でそのほかの因子について検討するのがよいと考えられた.

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