耳鼻と臨床
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当教室最近10年間の上咽頭癌の統計的観察
鈴木 賢二馬場 駿吉板谷 純孝東内 朗
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キーワード: 上咽頭癌, 統計的観察
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1990 年 36 巻 6 号 p. 1195-1199

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抄録

1977年より1987年までの約10年間に診断治療した上咽頭癌新鮮例13例につき検討した.
全頭頸部悪性腫瘍の内で上咽頭癌は2.7%を占めた. 年齢は23歳から75歳で, その平均年齢は50.4才であつた. 男女比は3.7: 1で男性. に好発した. 主訴は頸部腫瘤が53.4%と最も多く認められた. 原発巣ではT1: 23.1%, T2: 38.5%, T3: 30.8%, T 4: 7.7%であり, 頸部リンパ節転移は全症例に認められた. 遠隔転移も2例に認められた.
初回治療による局所及び頸部転移の制御率は放射線単独治療群 (放治群) で83.3%, 化学・放射線併用治療群 (併用群) で85.7%とほぼ同等の成績であつたが, 放治群には再発が多く, 結局放治群の生存率は16.7%と極めて悪く, 併用群の生存率は71.4%と良好であつた.
以上より放射線療法にCP療法を併用することは, 放射線療法単独と比較し, 極めて有用であると考えられた.

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