耳鼻と臨床
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滲出性中耳炎によりGarcin症候群を呈した1例
待木 健司芳田 之西川 典秀高橋 邦明武山 実原 晃草刈 潤金澤 一郎
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1991 年 37 巻 1 号 p. 10-15

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抄録
滲出性中耳炎によると思われる肥厚性脳硬膜炎によりGarcin症候群を呈した1症例を報告した. 症例は55才・女性で, 約8カ月前より左耳鳴, 難聴, 耳痛を訴え近医にて滲出性中耳炎と診断され治療を受けていた. 4カ月後左V, VII脳神経症状が出現し, 以後初診時までにIIIからXまでの脳神経障害をきたした. CT, MRIでは, 左中頭蓋窩から後頭蓋窩に及ぶ硬膜の著明な肥厚像を認め, 又左中耳, 乳突洞に滲出性中耳炎による炎症性変化も認めた. 硬膜生検にて肥厚性脳硬膜炎と判明し, 抗生物質投与によりIII以外の脳神経症状は3カ月の間にほぼ回復した. 病因として, 滲出性中耳炎による炎症が内耳道経由にて頭蓋内に及び, 硬膜の慢性炎症を起こしGarcin症候群が成立したものと思われた. 本症例の臨床経過, 画像所見, 病理組織学的所見及び若干の文献的考察を加え報告した.
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