耳鼻と臨床
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顔面神経過誤支配によるアブミ骨筋性耳鳴の1例
久 和孝小宗 静男上村 卓也
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1991 年 37 巻 3 号 p. 539-542

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抄録

顔面神経過誤支配によると思われるアブミ骨筋性耳鳴の1例を経験し, アブミ骨筋腱を切断することによつて耳鳴を消失させることができた. 術前は閉眼によるコンプライアンスの低下および低音域の聴力閾値上昇を認めたが, 術後これらは消失した.手術時にアブミ骨筋の筋電図を測定し, 今回の症例におけるアブミ骨筋収縮の周波数は約30Hzであると判断した. この結果をもとに, この症例におけるアブミ骨筋性耳鳴は, 同筋の収縮による振動が, アブミ骨筋腱, アブミ骨を介して効率よく内耳へ伝播されるために発生するものであり, アブミ骨筋の収縮音を聞いているのではないと考察した.

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