1. 九州全域の空中花粉分布を1986年7月から3年間調査し, 比較検討した. 2. スギ, ヒノキ科花粉が多く, マツ科 (含マキ科), カバノキ科, ブナ科, ニレ科, イチョウ科, ヤナギ科などの木本花粉と, イネ科, タデ科, アカザ科, ガマ科, イラクサ科, キク科, クワ科, ヒユ科などの草本花粉が鑑別された. 2月~5月に集中して花粉が飛散した. 3. 沖縄ではモクマオウ科, ソウシジュ, タイワンハンノキなどの木本花粉が鑑別された. 草本ではイネ科, キク科などがみられた. 4. 九州地方ではスギ・ヒノキ科は2~4月, 春のイネ科は4~6月, 秋のイネ科は9~10月, キク科ヨモギ属は9~10月の短期間に飛散する. 5. スギ・ヒノキ科花粉飛散時期の低温, 長雨は飛散を抑制し, 雨天後の飛散は急増する傾向がみられた.
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