耳鼻と臨床
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37 巻, 3 号
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  • 小宗 静男, 平 俊明, 上村 卓也
    1991 年 37 巻 3 号 p. 531-534
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    青色鼓膜(コレステリン肉芽腫)9例について検討した. 9例中5例は初期治療として鼓膜チューブ留置を行つたが, チューブ脱落や閉塞持続性耳漏がおこりコントロールが困難であつた. 結局9例中7例に手術を行つた.乳突洞削開のみを行つた1例はすぐに青色鼓膜の状態にもどつた. 6例は, 乳突洞削開とチューブ留置を同時に行つた. この全例に聴力改善を認め, 再発はなかつた. 肉芽腫の除去と同時にチューブ留置を行うことが, 本症の治療に最も有効であると考えられた.
  • 遠藤 芳彦, 阿部 隆, 村井 和夫, 根本 聰彦
    1991 年 37 巻 3 号 p. 535-538
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽頭異物 (魚骨) の不完全な除去によつて異物が遺残し, 重篤な咽後膿瘍を併発した1才7カ月男児の症例を報告した. 大きな魚骨を口にくわえて遊んでいた際, テーブルの上から落下転倒し, それにより咽頭後壁内の埋没異物, 咽後膿瘍となつた. 遺残した魚骨異物が膿瘍腔内に埋没し, 発見摘出が困難であつたことから, CT, 超音波エコーによる十分な術前検査と膿瘍腔内の十分な異物探索が大切であることを述べた.
  • 久 和孝, 小宗 静男, 上村 卓也
    1991 年 37 巻 3 号 p. 539-542
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    顔面神経過誤支配によると思われるアブミ骨筋性耳鳴の1例を経験し, アブミ骨筋腱を切断することによつて耳鳴を消失させることができた. 術前は閉眼によるコンプライアンスの低下および低音域の聴力閾値上昇を認めたが, 術後これらは消失した.手術時にアブミ骨筋の筋電図を測定し, 今回の症例におけるアブミ骨筋収縮の周波数は約30Hzであると判断した. この結果をもとに, この症例におけるアブミ骨筋性耳鳴は, 同筋の収縮による振動が, アブミ骨筋腱, アブミ骨を介して効率よく内耳へ伝播されるために発生するものであり, アブミ骨筋の収縮音を聞いているのではないと考察した.
  • 古謝 静男, 知念 信雄, 宇良 政治, Peter BERGER
    1991 年 37 巻 3 号 p. 543-549
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 内耳性難聴患者より末梢血リンパ球を採取し, ヒト内耳組織及び牛由来コラーゲンと混合培養し, その増殖をトリチウムチミジンを用いて検索した.
    2. 対照とした健常人13人においては陽性例はなかつた. 内耳性難聴患者50人中15人において陽性例が得られた.
    3. 内耳性難聴患者の一部において, 細胞性免疫に起因した内耳障害の存在が示唆された.
    4. lymphocyte activation testは, 細胞性免疫に起因すると考えられる内耳障害の検出へのアプローチとして, 有用であると考えられた.
  • 渡辺 晋
    1991 年 37 巻 3 号 p. 550-556
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    神経耳科学的に興味ある帯状庖疹ウイルス感染症を報告した. 温, 痛覚障害, Bruns眼振, ET-test異常等により橋外側障害, 上眼瞼向垂直性眼振, 眼筋可動制限より中脳障害, 上肢振戦と下肢脱力, 構語障害より小脳障害を認め, さらに, 無菌性髄膜炎を合併した.
  • 原 由起代, 狩野 季代, 益田 美晴, 外山 勝浩, 松田 圭二, 坪井 康浩, 森満 保
    1991 年 37 巻 3 号 p. 557-561
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    宮崎医科大学耳鼻咽喉科における過去5年間の小児滲出性中耳炎の初回チュービングの治療成績について報告した. チューブ留置期間が長いほどその後の再発率は低い傾向にあつた. また, チューブ留置術の合併症として, 耳漏をみとめたもの52耳, 肉芽を形成したもの13耳, チューブ脱落後, 鼓膜穿孔をみとめたもの4耳であつたが, 慢性中耳炎, 癒着性中耳炎, 真珠腫性中耳炎となつたものはなかつた.
  • 酒井 昇, 石川 和郎, 古田 康, 犬山 征夫
    1991 年 37 巻 3 号 p. 562-565
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    69歳男性で右鼻前庭腫瘤を訴え生検により腎癌(淡明細胞癌)の転移と判明した1症例を経験した. 鼻腔以外にも肺, 骨, 脳などに多発性の転移をきたし, インターフェロンを使用したが効果なく3カ月後に死亡した.鼻・副鼻腔への転移性腫瘍は極めて稀なものであり, その中で腎癌による鼻・副鼻腔転移例はわれわれが調べ得た範囲では自験例を含めて本邦で18例の報告がある. それらの症例について臨床像, 治療, 予後などを分析し, 併せて転移経路についても文献的考察を行つた.
  • 吉見 龍一郎, 隈上 秀伯
    1991 年 37 巻 3 号 p. 566-570
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口腔扁平苔癬は原因不明の疾患で治療方法も確立されていない. 今回遅延型アレルギー反応の面から抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞および免疫担当細胞であるTリンパ球サブセットについて正常口腔粘膜と口腔扁平苔癬の比較を行つた. なお免疫組織染色はPAP法を用いた.
    結果正常口腔粘膜においてはランゲルハンス細胞は粘膜上皮の深層を中心に分布していた. Tリンパ球は粘膜下浅層に少数認められTリンパ球サブセットについては特に差は認められなかつた. これに対し, 口腔扁平苔癬においてはランゲルハンス細胞の上皮下への浸潤と増加, ヘルパーTリンパ球を主体としたTリンパ球の増加が認められた.本疾患において遅延型アレルギー反応が深く関与していることが推定された.
  • 正常者における超高速度映画による研究
    安元 誠司
    1991 年 37 巻 3 号 p. 571-579
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    超高速度映画を用いて発声中の声帯振動の様子と音声を同時に記録し, 周期の揺らぎについて検討した. 発声は楽な高さと強さ (mf発声), より強く (f発声), より弱く (p発声) の3種類とした. 声帯振動の周期は声門開大開始時点, 最大開大時点, 完全閉鎖時点の3者から求めた. その結果, 1) 声帯振動周期の揺らぎはf発声, mf発声, p発声の順に大きくなつた. 2) 開大開始時点周期と完全閉鎖時点周期の揺らぎは小さいが, 最大開大時点周期の揺らぎはそれらより大きかつた. 3) f発声ではOQやOCの揺らぎも小さかつた. 4) 完全閉鎖時点周期の揺らぎの起こり方と音声信号の揺らぎの起こり方の間に高い符合が見られ, 声道が声門の閉鎖時点で駆動されることが再確認された.
  • 1986年7月-1989年6月調査結果
    岸川 禮子, 長野 準, 宗 信夫, 石川 哮
    1991 年 37 巻 3 号 p. 580-597
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 九州全域の空中花粉分布を1986年7月から3年間調査し, 比較検討した. 2. スギ, ヒノキ科花粉が多く, マツ科 (含マキ科), カバノキ科, ブナ科, ニレ科, イチョウ科, ヤナギ科などの木本花粉と, イネ科, タデ科, アカザ科, ガマ科, イラクサ科, キク科, クワ科, ヒユ科などの草本花粉が鑑別された. 2月~5月に集中して花粉が飛散した. 3. 沖縄ではモクマオウ科, ソウシジュ, タイワンハンノキなどの木本花粉が鑑別された. 草本ではイネ科, キク科などがみられた. 4. 九州地方ではスギ・ヒノキ科は2~4月, 春のイネ科は4~6月, 秋のイネ科は9~10月, キク科ヨモギ属は9~10月の短期間に飛散する. 5. スギ・ヒノキ科花粉飛散時期の低温, 長雨は飛散を抑制し, 雨天後の飛散は急増する傾向がみられた.
  • 加藤 寿彦
    1991 年 37 巻 3 号 p. 598-613
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    呼吸に同期したニオイ刺激制御装置を作成し, ニオイ刺激に対する誘発反応をヒトの頭皮上で記録した. 嗅覚正常者の頭皮上で記録されたニオイ刺激に対する誘発反応は, 3つのタイプの反応が認められた. 1つは潜時約350ミリ秒と約700ミリ秒に2峰性の陽性波をもつもので, 第2と第3の反応はそれぞれ潜時約350ミリ秒と潜時約700ミリ秒にのみ陽性波を認めた. またこの反応の頭皮上電位分布について検討した結果, 潜時約350ミリ秒の陽性波は頭皮上中心部から後頭部にかけて高電位を示し, 潜時約700ミリ秒の陽性波は頭皮上全体が高電位を示した. さらに, この2つの陽性波の発生源を推測するためにsource derivation (SD) 法を用いて頭皮上の電位勾配を求めて検討した. 潜時約350ミリ秒の陽性波の発生源は第一次嗅中枢の嗅球で, 潜時約700ミリ秒の陽性波の発生源は嗅皮質から投射された第三次嗅中枢ではないかと推測した.
  • 多施設共同研究
    馬場 駿吉, 山本 真一郎, 宮本 直哉, 河村 正三, 市川 銀一郎, 板橋 隆嗣, 渡辺 洋, 和田 昌士, 椿 茂和, 三宅 浩郷, ...
    1991 年 37 巻 3 号 p. 614-631
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    慢性中耳炎患者8例にFleroxacin 200mgを空腹時1回経口投与し, 耳漏中濃度を測定したところ2時間値平均 (n=6) 1.22μg/ml, 6時間値平均 (n=6) 1.88μg/mlであつた.
    また, 臨床的検討として, 中耳炎患者130例, 外耳炎患者27例に本剤を1日1回200~300mg 7日間投与したところ中耳炎の有効率は75.4%, 外耳炎は100.0%であつた.
    細菌学的効果は中耳炎で82.1%, 外耳炎は100.0%の消失率であつた.
    副作用は中耳炎の場合142例中4例 (2.8%) にみられたが, 外耳炎では1例も副作用が認められなかつた.
    臨床検査値異常は中耳炎の場合56例中2例にみられたが, 外耳炎では1例も臨床検査値異常が認められなかつた.
  • 三宅 浩郷, 新川 敦, 河村 正三, 市川 銀一郎, 板橋 隆嗣, 和田 昌士, 椿 茂和, 飯田 政弘, 坂井 真, 佐藤 むつみ, 松 ...
    1991 年 37 巻 3 号 p. 632-648
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎患者69例に1日1回200mgまたは300mgを原則として14日間投与した. その結果, 急性副鼻腔炎93.9%, 慢性副鼻腔炎急性増悪85.7%, 全体として90.2%の有効率であつた. 細菌学的効果は急性で100%, 慢性急性増悪で80%, 全体として91.7%の消失率であつた.
    X線所見の改善率は軽度改善以上で68.8%であつた.
    副作用は5例に胃部不快感2例, 発疹, めまい, 不眠, 各1例であった.
    臨床検査値異常は2例あり, 白血球の減少と, GOT, 総ビリルビンの上昇であつた. いずれも重篤なものは認めなかつた.
    以上の結果から副鼻腔炎に対して1日1回200mgまたは300mg投与で臨床的に有用性の高い薬剤であるといえる.
  • 宮本 直哉, 馬場 駿吉, 小林 武弘, 山本 真一郎, 柘植 勇人, 笠島 哲也, 丸尾 猛, 伊藤 晴夫, 東内 朗, 伊佐治 弘子, ...
    1991 年 37 巻 3 号 p. 649-665
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン剤cefepime (BMY-28142) の耳鼻咽喉科領域感染症における基礎的ならびに臨床的検討を行い次のごとき結果を得た.
    1. 抗菌力は対照薬剤CAZ, CZONと比べると, S. aureusに対してはCZONより若干劣るものの, 他の菌種においては同等またはそれ以上であつた.
    2. 中耳粘膜および耳漏中への本剤の移行は, 種々の菌に対するMICからすると十分なものであつた.
    3. 52例の耳鼻咽喉科感染症患者に本剤を投与し, 有効率は79.2%であつた.
    4. 除菌率は, 中耳炎が85.2%, 副鼻腔炎, 扁桃炎が100%であつた.
    5. 副作用は1例に嘔気・嘔吐, 臨床検査値異常は1例にT-Bilの軽度上昇がみられた.
  • 広島大学耳鼻咽喉科多施設共同臨床研究
    平川 勝洋, 原田 康夫, 藤原 裕美, 二階堂 真史, 夜陣 紘治, 田頭 宣治, 鈴木 衛, 中田 将風, 小村 良, 宮脇 浩紀, 竹 ...
    1991 年 37 巻 3 号 p. 666-676
    発行日: 1991/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    通年性鼻アレルギー患者203名にセルテクトを投与し, その有効性, 安全性を検討し, 以下の結果を得た.
    1) 有効性を検討し得た178例のうちセルテクト単独治療群118例中99例 (83.9%), 減感作治療など併用群60例中45例 (75%) で, 中等度以上の全般改善度が得られ, 両群間に差はなかつた.
    2) 症状別では, 単独群の投与開始4週後でくしゃみ82.8%, 鼻汁80.6%, 鼻閉 (発作時) 80.6%, 鼻閉 (普段) 78.3%で改善がみられた.
    3) 副作用は7例 (3.7%) で眠気が認められた. その他重篤な副作用はなかつた.
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