耳鼻と臨床
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顎下型ガマ腫の1例
茶園 篤男渡辺 徳武鈴木 正志茂木 五郎
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1992 年 38 巻 2 号 p. 124-127

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抄録

15歳男児の顎下型ガマ腫の1症例を経験した. CTでは左顎舌骨筋外側に境界明瞭な low density腫瘤陰影が存在し, 顎舌骨筋内には, 嚢胞の導管を思わせる円形low density 像を認め, 顎下部の嚢胞と舌下腺との連続性を疑わせた. 顎下部切開により舌下腺の一部と共に嚢胞を摘出した. 嚢胞は被覆上皮を有さない偽嚢胞で, 顎舌骨筋裂隙を通つて顎下部に進展していた. 術後15か月を経過した現在まで再発を認めていない. 診断には CTが有用であつた. 顎舌骨筋の先天性裂隙は正常人の約30%に見られ, これが本症の発生原因として考えられた. 本症のほとんどが被覆上皮を持たない偽嚢胞であることより, 本症の治療においては嚢胞のみの摘出では不十分で, 舌下腺を含めた処置が必要である. 本報告例でも舌下腺の一部を含めた嚢胞摘出術を行い経過良好である.

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