耳鼻と臨床
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顔面神経主幹発見法の不可能な耳下腺腫瘍
谷垣内 由之村井 信之早田 寛紀馬場 廣太郎
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1992 年 38 巻 2 号 p. 117-123

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抄録

耳下腺定型手術において, 顔面神経主幹露出の困難であつた2症例について検討を行つた.
術前診断では, 2例とも深葉腫瘍と診断された. 手術所見では, 2例ともに顔面神経主幹の部で, 腫瘍は神経の外側に位置していた. 腫瘍は深葉に原発し, 主幹部で浅葉側に大きくなつたものと思われた. CT-MRI検査をみると, 腫瘍は, 下顎骨と乳様突起・茎状突起の間に存在し, 茎乳突孔を中心に上下に広く深葉部を占拠していた. 内側には耳下腺陰影はなく, 外側に浅葉の陰影を認めた.
このような所見を示す場合, 末梢での神経露出も考え手術に臨むべきであると考えられる. 末梢での発見は, 下枝において最も容易であると思われた.

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