耳鼻と臨床
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下口唇嚢胞219例の検討
井野 素子松山 浩吉中川 のぶ子加藤 真子渡辺 尚代金子 明弘井野 千代徳
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1992 年 38 巻 2 号 p. 131-134

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抄録

下口唇嚢胞219例につき検討した. 性差, 年齢分布は, 今日までの報告と同様に, 女性に多く, 若年者に集中していた. 口腔外科医よりの報告との比較では, 大筋において一致したが, 症例の年齢分布に若干の相違を認めた. Blandin-Nuhn腺嚢胞, ranulaについても調べたが, 女性に多く, 若年者に集中する傾向は同じであつた. これらの事実は mucoceleの一種である下口唇嚢胞の発生に, 局所的要因のみならず全身的な要因の関与を示唆した. 病悩期間と組織所見との関係は明確ではなかつたが, これは下口唇嚢胞の初期においては, 無意識に経過する症例, 軽快再発を繰り返す症例が存在するためと考えた. 0-9才, 40才以上の症例は, 病悩期間が比較的短いものが多く, これは, 0-9才においては, 親が早期受診に関与し, 40才以上では腫瘍性病変を疑うためと考えた.

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