1992 年 38 巻 2 号 p. 79-85
炎症と深く関係する補体が, 鼻アレルギーを代表とする鼻過敏症と実際にどの様に関わるかを調べるため, 鼻過敏症患者の血清補体価 (CH50), C3, C4を測定し, 臨床的な背景及び成績との関係を検討した.
その結果, 血清補体の各値は検査時年齢に従い上昇する傾向がみられた. また罹病期間の長い例ほど高値を示す傾向があつた. 20才から39才の成人例のうちハウスダスト鼻アレルギー例では, C4値が罹病期間20年以上の長期例ほど, それ以下の罹病期間例に比べて有意に高値を示した. また罹患年数とC4値の間に有意な相関を認めた. しかしながら, スギ花粉症例では上記の関係は認められなかつた. 副鼻腔X線検査結果と血清補体各値の関係から, 鼻過敏症患者において (特にハウスダスト鼻アレルギー例において), 副鼻腟炎の存在が血清補体と関係することが考えられた.