耳鼻と臨床
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七音音階を利用した耳鳴ピッチ・マッチ検査
測定法の妥当性と簡易測定法の検討
杉浦 友昭大崎 勝一郎藤村 哲也田村 耕三中桐 伸五
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1992 年 38 巻 2 号 p. 86-93

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抄録

自覚的耳鳴に対する7音音階ピッチ・マッチ検査の測定基準の妥当性を検討した.
各症例 (18例) は, 一度の検査で連続10回の測定を行つた. これらの測定値の中で, 最頻値とこれに全音または半音隣接する測定値を加えた両者の占有率が70%以上となつた症例は全例にみられた. 本検査法尺度の最小単位幅 (全音または半音) を生理的変動とみなすとき, 測定値の再現性は十分であると考えられた. そこで10測定値を6種類に分類し, これらと最頻値の一致率を検討したところ, 2回の予備検査後の測定値のうち, 連続2回以上同一となった測定値 (A), および連続しなくとも最初に2回同一となった測定値 (B) の最頻値との一致率は他の測定値よりも高率 (94%, 89%) であつた. 現在, 本検査法の実施においては, 測定値Aを耳鳴ピッチの近似周波数として採用しているが, この測定基準は妥当なものであり, 一方測定値Bも簡易測定法として採用しうると思われる.

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