1993 年 39 巻 5 号 p. 660-665
38歳男性に発症した側頭骨破壊性病変に対して摘出手術を行つた. 病理組織診断は炎症性肉芽であつたが, その後の臨床経過および病理組織の再検討にて, 好酸球肉芽腫と診断した. 放射線, ステロイド, サイクロフォスファマイドによる治療を追加し, 腫瘤の著明な縮小が認められた. 側頭骨好酸球肉芽腫の診断に際し, 真珠腫性中耳炎や急性乳突洞炎などとの鑑別が必要であるが, 病理組織所見とともに単純X線写真でのpunched out lesion像は重要な所見と考えられた. また, 治療に際し, 画像所見とともに血沈値, CRPなども治療効果の一つの指標として有用と思われた.