耳鼻と臨床
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耳垢腺癌の1例
館野 秀樹浦尾 弥須子川崎 篤
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1994 年 40 巻 1 号 p. 57-60

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抄録
聴器に発生する悪性腫瘍は稀であり, 部位的には, 外耳道癌が耳介癌, 中耳癌より多い. 外耳道癌を病理組織学的にみると, 扁平上皮癌が最も多く, 次いで腺様嚢胞癌であり, 単純癌, 腺癌は稀である.
われわれは, 74才男性の右外耳道より発生した耳垢腺癌症例を経験したので報告した. 患老は, 耳痛を主訴に来院した. 初診時, 右骨部外耳道前上方壁より突出し外耳道をほとんど覆う腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診でClass III, CT像で外耳道骨壁の破壊を認めたことから悪性を予想したが, 部位が外耳道浅部に限局していたため, 腫瘍を周囲の皮膚, 骨とともに切除するという局所拡大摘出術のみを行つた. 術後4年6ヵ月を経て局所再発遠隔転移を認めていないが, 今後長期にわたる経過観察が必要と考えている.
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