抄録
掌蹠膿疱症 (以下PPPと異す) は原因, 発生機序など不明な難治の慢性皮膚疾患で, Andrewsは病巣感染説に基づき, 扁摘による完治例をあげ, 病巣感染の重要性を指摘している. しかし本症に対し決定的治療法がないのが現況である. MS-Aの臨床研究中, 難治のPPPにMS-A20mg, 2回の皮下注射で, 膿疱が黒褐化し, MS-Aは本症に著明に反応した. MS-A40mg, 9回の投与で全治せしめ, その後PPPは本剤の投与により良好な治療成績を収めた. 石川らは本症の組織学的検索で, その出血, 細胞浸潤および血管の変化は酸性多糖類アレルギーによるアレルギー性血管炎ないしアルサス現象であると発表している. MS-Aはアルサス現象に対し強い抑制効果を有し, 本症は石川らの考えるアルサス現象とする立場から, MS-Aはこれを抑制して, みるべき成績を収めたものと考えられる.