1994 年 40 巻 6 号 p. 954-958
ピリドンカルボン酸系経口抗菌剤であるトシル酸トスフロキサシンの耳鼻咽喉科領域感染症の患者92例に対する使用経験を検討し, 以下の結果を得たので報告する.
1) 臨床効果は全体で79%, 急性感染症では88%, 慢性感染症の急性増悪で71%の有効率であった.
2) 疾患別の有効率は咽喉頭炎100%, 扁桃炎95%, 中耳炎63%, 副鼻腔炎73%であつた.
3) グラム陽性菌検出例における有効率は88%, グラム陰性菌検出例における有効率は100%であつた.
4) 副作用は92例中1例のみに軽度の下痢が認められたのみであつた.
以上よりTFLXは耳鼻咽喉科領域の感染症に対して有用度の高い薬剤であると考えられた.