耳鼻と臨床
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口内乾燥感とcandida
井野 千代徳木下 卓也加藤 真子稲村 達哉井野 素子山下 敏夫
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1994 年 40 巻 6 号 p. 949-953

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抄録
口腔乾燥感を有する症例の早朝唾液を調べるとcandidaの陽性率は71%であるのに対して, 対照例では, 56%であつた. ガム試験と安静時唾液量検査を行い, 両者とも低下していた症例群は, candida検出率およびその密度とも, 対照群との間に大きな差を認めた. 一方, 両者とも正常域にあつた症例群では, 検出率および密度とも対照群との間にほとんど差は認められなかつた. candidaの密度が(+)以上の症例に, 抗真菌剤であるフロリードゲルを2週間投与したところ, 全例にcandidaの消失ないしは減量を認めた. その有効率は80%であつた. 自覚症状の改善は93%に認められたが, そのうち「乾燥感の改善域は消失」は23%であつた. candidaは唾液腺機能低下の顕著な症例に多く認められ, candidaの存在自身が, 口内乾燥感の少なくとも間接的な要因に成りうると判断した.
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