抄録
耳鼻咽喉科領域の小児の感染症に対するバナン®ドライシロップの臨床評価を多施設共同研究にて実施した.
対象は中耳炎186例, 副鼻腔炎88例, 扁桃炎18例, 咽喉頭炎10例 (重複例6例を含む), 計296例とし, 本剤を1回6mg/kg, 1日2回, 3-14日間投与した. 除外, 脱落6例を除く, 291例における有効率は84.2%であつた. 副作用は6例にみられたが, 主なものは消化器症状で, 投与中止により速やかに軽快し, 安全性では97.9%が「ほぼ安全」以上と評価された. 有効性と安全性を考慮した有用性において, 有用率86.0%の結果を得た. 一方, 客観的に本剤の臨床効果を評価するために, 自・他覚症状の推移を数量化し効果判定を行うことを試みた. その結果, 主治医判定と乖離がみられ, 再検討が必要と考えられた. 以上より, 本剤は臨床効果に優れ, かつ重篤な副作用もないことから, 耳鼻咽喉科領域において有用性の高い薬剤であると結論された.