耳鼻と臨床
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メニエール病患者に見られる耳鏡所見に異常のない耳痛
安田 宏一
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1995 年 41 巻 6 号 p. 883-888

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抄録
メニエール病患者の中に, ある時かなり激しく一側性の耳痛を訴える者がある. 耳鏡検査をしてみても, 耳痛の原因になるような異常を発見できない. このような患者の胸鎖乳突筋を指でつまむと, 耳痛側に一致して圧痛がある.
1994年4月から2カ月間に, このような耳痛を訴えた者が12例あつた. 発作中の者が7例, 間歇期の者が5例あつた. 間歇期の者は, 半日の臥床, あるいは眠前にセレスタミンを1錠のむことで, 翌日には耳痛がとれていた. 発作中の者は, 4日間の臥床安静とセレスタミン1日4錠の内服で, 眼振と偏筒が消失し, 多くの者では耳痛も同時に消失した. なお耳痛のとれない者には, 耳痛側の胸鎖乳突筋と僧帽筋に, リンデロン2mgと1%塩酸プロカイン10mlの混合液を局注することにより, 耳痛は消失した.
この耳痛の原因は, 前庭脊髄反射が胸鎖乳突筋で亢進したものと考える.
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