抄録
拍動性耳鳴を主症状とした側頭骨グロームス腫瘍の3症例を報告した. 全例に手術のみを施行し, 放射線治療は用いなかつた. CT, MRI, 血管造影で術前診断ができた鼓室型腫瘍, 頸静脈球型腫瘍に対しては腫瘍全摘出術が可能であつたが, 画像診断が不十分で頸静脈球型か鼓室型か鑑別困難であつた初期の1例では再発をきたした. 診断には問診, 耳鏡所見の他, インピーダンスオージオメトリーの所見も参考になるが, 治療を行うにあたつてCT, MRIなどの画像診断による腫瘍伸展範囲の術前評価が重要であることがわかつた.