耳鼻と臨床
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42 巻, 5Supplement2 号
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  • 鳥原 康治, 森満 保, 菅沼 龍夫, 井手 惣幸
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 665-669
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    α2, 8ポリシアル酸はこれまでに神経細胞接着因子, 電圧感受性ナトリウムチャンネル, 腫瘍細胞などにその発現が確認されている. このポリシアル酸に対する特異抗体 (MAb735) と神経細胞接着因子 (N-CAM) に対する特異抗体を用いてモルモット内耳でのポリシアル酸の検出を比較検討してみた.
    らせん神経節細胞の膜周囲, らせん板縁の歯間細胞でともに強く染まつた. 血管条では辺縁細胞, 中間細胞およびそれらの細胞膜上で部分的に染まっている部分をともに認めた. 血管条血管の内皮細胞および内腔表面は染まらなかった. 蝸牛軸血管に分布する自律神経終末をMAb735のみが染色した.
    内耳の各部位でのポリシアル酸とN-CAMの局在を確認できたがその存在意義はまだ不明の点が多い. ともに染色結果はほぼ同様であったが蝸牛軸血管に分布する自律神経終末に関しては明らかに反応に違いを認めた.
  • ―基底回転のEPのdevelopment―
    定永 正之, 中野 隆之, 加藤 栄司, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 670-677
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ICRマウスを用いて基底回転のEP, -EPの発達過程を日齢ごとに調べた. マウスのEPは生後9-17日齢に急上昇することが確認された. -EPは生後5日齢より確認され, 生後11日齢でいつたん成熟マウスの-EP値を示した後12-16日齢でさらに負にオーバーシュートして生後20日齢に再び成熟マウスの-EP値を示した. anoxia時のEP低下速度は生後10日齢より急激に上昇し, これはEPが急上昇する日齢とほぼ一致した.
    生後15日齢マウスの血管条細胞内電位を油圧式マニピュレーターを用いて記録した. 微小電極が内リンパ腔に刺入される直前, 血管条を穿通している間に正の, 44, 80mVの電位が階段状に記録された.
    組織学的検討を行い, この実験を通して電極がラセン靭帯, 血管条を通過し確実に内リンパ腔に刺入されていたことを確認した.
  • 下薗 政巳, 東野 哲也, 山崎 正幸, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 678-681
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    血管条辺縁細胞の細胞内遊離Ca2+濃度 ([Ca2+]i) を測定することを目的に, モルモット蝸牛より蝸牛管側壁を膜様伸展標本として取り出し, Ca2+感受性蛍光色素 (Fura-2) を細胞内注入する手技を用いて, 血管条辺縁細胞内にFura-2を注入し, その細胞内Ca2+濃度[Ca2+]iを蛍光顕微測光法で測定した. 細胞内注入した血管条辺縁細胞の静止状態における[Ca2+]iは約100nMであつた. さらに同じ標本にFura-2/AMを細胞外液中に負荷する方法でも測定を行ない, 内リンパ側の血管条と思われる領域からの蛍光でも[Ca2+]iを測定した. 細胞外負荷の標本の内リンパ側の血管条と思われる領域の[Ca2+]iは細胞内注入した血管条辺縁細胞のCa2+濃度とほぼ同様の値であつた.
  • 河野 浩万, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 682-686
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回の研究の目的は, 陰イオン性造影剤アミドトリゾアート (ATZ) が蝸牛管内で陽性に荷電している辺縁細胞と結合するか否かを電顕的に検討することであつた. ATZが突発性難聴に有効であるのは, ATZが陽性に荷電した病的血管内皮細胞と結合し一時的なバリアとなるためと推察しているからである. モルモットの蝸牛管内をATZで灌流したのち, 乳酸銀でATZを不溶化とし, 6種類の固定法を用いて透過電顕で観察し銀粒子の量をコントロール群と比較検討した. 銀粒子が, 特異的に辺縁細胞表面に付着する所見はいずれの方法でも認められず, コントロール群とも差はなかつた. しかし, 1方法において血管条内に散在性に銀粒子がコントロール群より多く認められた. 本実験では, ATZと辺縁細胞表面との付着力はそれほど強力なものではなく, ATZは血管条組織内へ浸入するのではないかと考えた.
  • 原 由起代, 東野 哲也, 牛迫 泰明, 山崎 正幸, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 687-692
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    一過性血管条障害に基づく突発難聴モデルとして, asphyxia負荷およびfurosemide静注による, モルモット蝸牛窓におけるCAP, SPの変化を記録した. 3分間のasphyxia負荷では, SP, CAP振幅がparallelに変動した. これに対し, furosemide 80mg/kg静注では, CAPの回復に先立ち急速なSPの回復がみられ, 突発性難聴症例に対する蝸電図検索で時にみられるSP/AP比の増大現象が, 蝸牛内静止電位 (EP) に依存した感音難聴の回復過程で認められることがわかつた. このSP/AP比の増大現象が, 聴力閾値の改善を予測する蝸電図学的パラメーターに成り得るのではないかと考える. またCAP閾値は4kHz, 8kHz, 16kHzの順に低音域より回復し, 突発性難聴臨床例の聴力回復過程に類似しており, 突発性難聴の血管条性を支持する結果と考えられた.
  • ―シ スプラチンとネダプラチ ンとの比較―
    中野 隆之, 森満 保, 波多江 正紀
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 693-699
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    シスプラチンとネダプラチンの耳毒性について電気生理学および形態学的に評価を行つた. モルモットにシスプラチンとネダプラチンをそれぞれワンショットの静注投与を行つた. それぞれの薬剤投与量は12.5mg/kgとした. シスプラチン群ではプライエル反射の閾値上昇や反射消失が全周波数域で認められた. これに対して, ネダプラチン群では閾値変動が認められたのは高音域に限られ, また, 閾値上昇後の回復も認められた-EPの値は両群間に有意差は認められなかつた. negative EPについてはシスプラチン群の方がネダプラチン群よりも電位発生が小さく両群間に有意差が認められた (P<0.01). 形態学的にはシスプラチン群で血管条の萎縮, 外有毛細胞の変性や消失が認められたが, ネダプラチン群では変化は軽微であつた. 以上の結果よりネダプラチンはシスプラチンに比べ耳毒性の少ない薬剤として今後利用されるものと考えられた.
  • 山崎 正幸, 牛迫 泰明, 伊牟田 美晴, 河野 浩万, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 700-707
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ウログラフィン (R) は突発性難聴に対する治療薬として次第に広まつてきている. 1977年から1995年までの19年間に当科治療した突発性難聴新鮮例142例の治療成績および治療開始までの日数, 聴力型, めまいの有無と治療成績に及ぼす影響を検討した. ウログラフィン療法の治療成績は治癒38.8%, 著明回復23.4%, 回復18.0%, 不変19.8%であつた. そのうちウログラフィン単独使用した成績は治癒52.6%, 著明回復21.1%, 回復11.8%, 不変14.5%であつた. 今回の検討から突発性難聴治療に対するウログラフィンの特徴は1. 治癒率が高い, 2. 発症1週以内に治療開始するもの治療成績は良い, 3. 低音障害型, 谷型を表す聴力型は治療成績が良い, 4. めまいのない群は治療成績良好, 5. 治療終了後も聴力改善を示すことであつた. なお, ウログラフィン治療で重篤な副作用は認めなかつた.
  • 牛迫 泰明, 森満 保, 東野 哲也, 牧野 浩二, 柊山 幹子
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 708-716
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    人工内耳手術後, 3カ月以上が経過した言語習得後失聴者36例37耳について, プロモントリーテストの成績, 術後成績, 術後成績に影響を及ぼす要因, 術後の問題点, 患者に行つたアンケート調査結果などの検討を行つた. また, 本邦初の両側人工内耳例, 家族性難聴の姉弟例を紹介した. 術後の言語理解力 (読話併用) は単音節, 単語, 文それぞれ平均で61%, 67%, 75%であり満足できる結果であつた. しかし, 患者自身の評価では92%が手術をして良かつたと答えていたが, 騒音下複数での会話, テレビ, 電話の聞き取りでは不満と答えたものの方が多かつた. 成績不良例は, 手術時年齢が20歳代, 30歳代では1例もなく, 失聴期間が15年を越えるとその割合が増加し, 高いT-levelを示す特徴があり, リハビリテーションプログラム上考慮されると考えられた.
  • 坪井 康浩, 東野 哲也, 牛迫 泰明, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 717-725
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1995年5月までに宮崎医科大学耳鼻咽喉科にて行われた人工内耳手術は25例26耳であり, このうち2耳において顔面神経迷路部に近接する電極で顔面神経刺激が誘発された. 第1症例の原因は聴神経腫瘍による骨破壊や手術による骨削開で蝸牛骨包と顔面神経管の間の骨隔壁が脆弱となり漏電が生じたものと思われた. また第2症例では内耳梅毒に伴う骨病変のため迷路骨包の導電性が変化したためと考えられた. 術前のCTで, 迷路骨包と顔面神経管を境する骨が不明瞭であつたり, 迷路骨包の骨に病的所見を認める症例では顔面神経刺激誘発の可能性を考慮しておく必要がある. 本合併症に対して現時点では該当するチャンネルを不活性にするしか方策はないが, 電極の構造的な改良やマッピングの工夫とともに症例によつては蝸牛と顔面神経との間に手術的に絶縁体挿入の策も考慮すべきと考えた.
  • 堀之内 謙一, 牛迫 泰明, 東野 哲也, 牧野 浩二, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 726-730
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは人工内耳症例に対し, 耳鳴についてのアンケート調査を行い, 人工内耳による耳鳴抑制効果について検討を行つた.
    人工内耳症例の92%が術前に耳鳴, 頭鳴を感じていた. 術後, 人工内耳装用時には, 片側手術例の術側耳鳴の79%, 対側耳鳴の69%に抑制効果が見られ, 両側手術例の両側耳鳴, および1例の頭鳴例に抑制効果が見られた. 人工内耳非装用時にも, 片側手術例の術側耳鳴の45%, 対側耳鳴の42%に耳鳴抑制が見られた.
    人工内耳による耳鳴抑制にはマスキング効果, 聴神経の異常興奮の電気刺激による抑制, 心理的な要因, 脳幹部や聴覚路遠心性神経線維の刺激などが関与し, 日常的な人工内耳の装用が長期的な耳鳴抑制の治療になつていると考えられた.
  • 東野 哲也, 牛迫 泰明, 瀬川 裕子, 坪井 康浩, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 731-736
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    聴神経腫瘍の中でも両側例やonly hearing earに発症した症例に対しては耳科医の特に慎重な対応が要求される. われわれは, 後頭蓋窩法で聴神経腫瘍を摘出後聾となつた2年後, 対側耳の難聴が急激に進行し両側聾となつた両側性聴神経腫瘍症例を経験した. プロモントリーテストの結果, 非術側のみ音感覚陽性であつたため, 聴神経機能保存を目的とした聴神経腫瘍摘出術を施行した. 術直後および15ヵ月後のプロモントリーテストで音感覚が保たれていることが確認されたため同側の人工内耳手術を行い, 聴覚リハビリに成功した. 人工内耳という治療手段が実用化した現在, 両側聾に至つた聴神経腫瘍症例においても蝸牛神経機能の評価が不可欠である. プロモントリーテスト陽性であれば人工内耳による聴覚リハビリの可能性を中心とした治療方針が検討されるべきと考える.
  • 松浦 宏司, 東野 哲也, 牛迫 泰明, 植木 義裕, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 737-746
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    内リンパ水腫の診断に用いられるグリセロールテストと, 聴神経腫瘍摘出術における術中聴覚モニタリングにおける鼓膜蝸電図の有用性を検討した.
    グリセロールテストにおいては内服後3時間にわたって純音聴力閾値, 自覚症状の変化に伴つたsummating potential (SP) の変化を記録することができた. 経中頭蓋窩法による聴神経腫瘍摘出術において, 良好な反応波形を反復記録することが可能であつた. 腫瘍摘出完了後もaction potential (AP) を確認できた症例では, 術後の聴力保存に成功した.
    このように反復記録が必要な検査においても, 記録電極の接触条件を長時間不変に維持できることが明らかとなり, 本法による鼓膜電極蝸電図の有用性が確認された.
  • 植木 義裕, 東野 哲也, 松浦 宏司, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 747-751
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    低音域障害のある感音難聴症例23例24耳の鼓膜蝸電図検査を行つた. 聴力の変動するメニエール病, 蝸牛型メニエール病群では17耳中10耳が極性別click刺激によるN1潜時差, SP/AP比のどちらかで異常増大を示した. 聴力の変動しない低音障害型突発難聴ではSP/AP比がむしろ減少しており上記2疾患とは異なつた病態である可能性が示唆された. 両側測定した症例で左右差を比較するとSP/AP比が相対的に異常値と判定される症例が2例あり, 全体では内リンパ水腫と診断されたのは17耳中12耳 (71%) と高い診断率であつた, 従つて鼓膜蝸電図法は無侵襲に安全に行うことができかつ内リンパ水腫の診断に関しても鼓室内誘導法に劣らない有用な検査法であると結論した
  • 竹中 美香, 東野 哲也, 外山 勝浩, 狩野 季代, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 752-755
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    感音難聴124症例の側頭骨MRIのガドリニウム造影効果を検討した. 一側性感音難聴79例で, 患側蝸牛, 前庭に造影効果を認めたのはHunt症候群, ムンプス聾, 突発性難聴の計3例のみであつた. 両側性感音難聴45例で造影効果を認めた症例はなかつた. MRIにて蝸牛, 前庭, 内耳道にガドリニウム造影効果を認めた2例はウィルス感染が関与している症例であり, 内耳の炎症を反映していることが考えられた. 突発性難聴39症例中1例に認められた造影の機序は不明であつた. 現時点での空間分解能では内耳性難聴の病態診断としてのMRIの有用性は, 内耳炎など限られた場合に認められることが確認された.
  • 外山 勝浩, 森満 保, 牛迫 泰明, 春田 厚, 東野 哲也, 林 克裕
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 756-760
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, IFNによる聴覚障害の発生状況につき調査し, 聴覚障害例については血管性病変などとの関連の有無を脂質の変化から検討した. 対象は1995年4月から12月までの間にIFN治療開始前の純音聴力検査を行った症例の中で, 少なくとも1カ月以上聴力を追うことのできた13例である. 聴力検査で難聴の出現したのは13例中5例であった. 5例中3例は8kHZのみが閾値上昇し, 1例は4kHZが閾値上昇した. また, C5-dipの1例は2kHzが閾値上昇した. 聴覚障害は, 5例中2例で完全に回復し, 3例では聴力が変動しつつも回復傾向にあり, 可逆性であつた. 血栓症の危険因子である血清コレステロールと中性脂肪の変化をみると, コレステロールはほとんどの症例で変化しないが, 聴覚障害例3例中2例で中性脂肪が著明に上昇した. IFNにより生ずる聴覚障害の機序は (1) 内耳循環障害による蝸牛内直流電位の低下 (2) 外有毛細胞への直接毒性 (3) 基底板への脂質沈着による内耳伝音系の障害, などが想定される.
  • 加藤 栄司, 東野 哲也, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 761-765
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    過去5年間に当科外来を受診し, 原因を特定できない感音難聴506症例のなかに剣道有段者13例が含まれていた. オージオグラムを検討した結果, 閾値異常を示した25耳の中に, 4kHz-dip型6耳 (24%) と全く同数の2kHz-dip型聴力像を示す感音難聴が含まれていた. また, 2, 4kHz障害型5耳 (20%), 2, 4, 8kHz障害型6耳 (24%) 認めたことより, 剣道による感音難聴が2kHz-dip型と4kHz-dip型に由来する聴力障害が複合した形で進行するものと推定された.
    同対象感音難聴症例506例のオージオグラムの中から2kHz-dip型聴力像または2, 4kHz障害型オージオグラムを抽出すると, 2kHz-dip型が43耳, 2, 4kHz障害型が18耳認められた. これらの症例の中に難聴の原因としての頭部外傷が明らかな例は認められないが, 問診上, 剣道, 交通外傷, 衝突, 殴打, 転倒などによる頭部打撲の既往があるものが半数以上を占めた.
    以上の結果より, 剣道による2kHz-dip型感音難聴発症の機序として竹刀による頭部の強い衝撃が関与していることが示唆された.
  • 牧元 宏, 市原 次郎, 牧野 浩二, 東野 哲也
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 766-772
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは当科において経験した内耳奇形症例14耳について異常の発生学的観察, 奇形と聴力の関係について検討した. 蝸牛が完成する胎生11週までは比較的異常が生じにくく, 胎生11週以降の発生の遅い前庭・半規管が異常を生じやすいと考える. 奇形と聴力の関係は蝸牛の形態異常が骨導閾値の上昇に関与していると考えられる. また発生学的観察と聴力の両面からみると内耳奇形の発生時期が遅れるほど聴力に関しては予後が良い傾向があるといえる.
    X線検査 (側頭骨高分解能CT) により可能な形態学的診断には限界があり, 今後は側頭骨の3次元CTなどによりさらに詳細な内耳奇形の部位診断が可能になるものと考えられる.
  • 西浦 美佐子, 牛迫 泰明, 原 由起代, 笠野 藤彦, 東野 哲也
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 773-777
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    聴覚障害をきたしたXeroderma pigmentosum (以下XP)-A群3例 (症例1:7歳女児, 症例2:9歳男児, 症例3:5歳男児) を経験した. このうち, 詳細な神経耳科学的検査を行った症例1について難聴の病態について検討を行つた. 純音聴力検査にて左右差のある谷型の感音難聴, 語音弁別能が純音聴力閾値に対して良好, ABRでは左は潜時に延長を認めないなどの内耳性障害の所見を認める. 一方, tone decay検査で疲労現象陽性, eye tracking testではsaccadic movementを示し後迷路性障害の所見も認めた. 症例1は当科にて経過観察中に難聴の急激な進行を認めたが補聴器が有効であつた. 難聴は他の神経症状に比較し進行が急で, 後迷路性の機序も存在するが, 主な病因として内耳性の障害が強く疑われた. XPの症例では聴覚について注意深い経過観察が必要で, 補聴器使用によるQOLの改善, さらに難聴の増悪時にはその治療についても検討が必要であると考えられた.
  • 特に耳管上陥凹の発生
    安達 裕一郎, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 778-791
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    後天性真珠腫の発生原因の一つとして, 耳管上陥凹の発育不良, 過長な上鼓室前骨板, 上鼓室粘膜ヒダ開口部の形態的な異常があげられるが, それらの個体差の発現過程についての明確な報告はない. そこでヒト胎児側頭骨の発育過程をコンピュータ三次元再構築法を用いて再現, 観察し, 前鼓室部の個体差発現過程を直接, 三次元的に観察した. その結果, Saccus anticus, Saccus medius, Saccus posticusの発育程度により正常前鼓室, 病的前鼓室および各々3タイプの前鼓室形態が形成されることが判明した.
  • 春田 厚, 森園 典子, 東野 哲也, 森満 保, Michael M. Paparella
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 792-796
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳管上陥凹は中耳腔換気ルートの中の前方ルートを構成する重要な構成部分であり, また, 主として生後に発達するとされているが, 胎生期より存在する間葉組織の転帰と耳管上陥凹の発達に関しては十分理解されていない. 今回われわれは, ヒト側頭骨標本を用い, 耳管上陥凹の含気化の発達とビメンチンに対する間葉組織の変化を免疫組織化学的手法を用いて検討を行つた.
    ミネソタ大学側頭骨バンクよりセロイジン包埋した生後1日から2歳までの正常ヒト側頭骨標本を選び, スライドグラスに接着後脱セロイジンを行い, 1次抗体には抗ビメンチンモノクローナル抗体を用いABC法にて染色を行い, 光学顕微鏡下に耳管上陥凹内間葉組織の染色性について観察を行つた.
    生後初期の耳管上陥凹内間葉組織内で, 細胞結合の疎な部分で陽性を示した. 成長するにつれて含気化部分の拡大と間葉組織の減少と陽性部分は縮小を認めるが, 陽性部分は含気腔近傍の緻密な粘膜下部分とは離れたやはり細胞結合の疎な間葉組織に認められ, しだいに陽性部分は消失した.
    以上の結果から, 耳管上陥凹の間葉組織の吸収は生後錐体骨の発育に連れて進行して行くものの, 中耳の含気化により吸収が促進されるのではなく, 間葉組織自身の消失の過程を経て, それに併せて含気化部分が拡大するものと考えられた.
  • 笠野 藤彦, 森満 保, 加藤 榮司
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 797-804
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ニッケルとチタンの合金であるNi-Ti形状記憶合金を使ったアブミ骨プロステーシスにつき, イヌキヌタ骨長脚に対する移植実験を行い, その組織適合性について検討を行った. さらに臨床への実用化のためテフロンにて完全に被覆した実験用フックを作成しその組織適合性も併せて検討した. 実験動物として成犬12頭 (8~13kg) を用いた. 移植実験の結果, 骨組織の変化は認められなかったが, 骨周囲ではプロステーシス周囲に肉芽組織による被膜が認められた. テフロンコーティングのものは線維性肉芽組織の被膜によりフックが固着されている所見を認めた, コーティング無しのものは血腫, 粘液腫などの幼若な間質の肉芽組織を形成し, フックの固着の弱さが示唆された-Ni-Ti形状記憶合金の組織適合性には長期移植において問題があるが, テフロンコーティングを行つたものは組織適合性に優れ, 手術操作の簡便性も損なうこともなく臨床応用が可能である.
  • 松田 圭二, 森満 保, 東野 哲也, 牧野 浩二, 春田 厚
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 805-813
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    前鼓室開放術を併用して外耳道保存鼓室形成術を行つた後天性真珠腫性中耳炎114耳を対象に, 術前後の中耳腔含気をCTにて観察した, 今回の検討で, 術後の再含気化に強く影響を与えることが示唆されたのは, 手術時の年齢, 術前の乳突腔含気の存在, 術中所見としてのアブミ骨上部構造の有無・乳突蜂巣発育の有無で, また, 影響はあるが比較的弱いと考えられるものは, 術前の鼓室内含気程度, 術中所見としての上鼓室前骨板の型, 対側耳所見, 副鼻腔炎の有無, 真珠腫型であつた. 術後中耳腔含気は, 耳管機能とともに, 中耳腔内の各部分の換気・排泄機能によって左右されるものと考えられる.
  • 二宮 靖子, 柊山 幹子, 東野 哲也, 外山 勝浩, 稲葉 順子, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 814-819
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科で施行された鼓室形成術の術前検査として耳管機能検査を取り入れ, 従来より行つてきたカテーテル耳管通気法やCT所見と比較し予後との関係についても検討した.耳管機能検査ではカテーテル耳管通気, CT所見に比較し狭窄を示す頻度が高かった. また, 形成鼓膜経過不良例では耳管機能検査で狭窄を示すものが明らかに多く, さらにカテーテル耳管通気, CT所見でも異常を示すものが多くみられた. このことより, 術前検査として3つの検査を組み合わせることが, 鼓室形成術の適応決定や術式選択や予後予測をするにあたり重要かつ有用であると思われた.
  • 瀬川 祐子, 牧野 浩二, 笠野 藤彦, 東野 哲也, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 820-826
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1986年~1995年に宮崎医科大学耳鼻咽喉科教室で鼓室形成術を施行した386耳の慢性中耳炎の初回手術例について検討し, 以下の結果が得られた.
    1) 術後聴力の成功率は, I型90.5%, II型100%, III型80.6%, IV型44.4%であつた.
    2) 硬化病変を伴う症例では, Anterior SpinotomyやAtticotomyを行うことによりパッチテストより良好な術後成績を得られた.
    3) 術後の鼓膜所見は, 再穿孔が18耳, 陥凹や貯留液が6耳, 部分癒着が2耳, 鼓膜炎が11耳, 新鼓膜の上皮下の小さな移植性真珠腫が11耳に認められた.
    4) 再手術10例は, 再穿孔4耳, 鼓室硬化症4耳, 耳管機能不良1耳, 浅在化鼓膜1耳に対して行われた. 鼓室硬化症や耳管機能不良症例に対しては術前の慎重な配慮が必要である.
    5) 乳突洞削開術を必要としたのは4耳で全例に行わなかつたが, 乳突部からの排膿などが再手術の原因となつたものはなかつた.
  • 稲葉 順子, 宮永 さとし, 東野 哲也, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 827-832
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼓膜チューブ留置術後穿孔症例に対する鼓室形成術の問題点について検討した.
    1) 鼓室形成術の成功例は20耳中17耳 (85%), 不成功例は3耳 (15%) であつた.
    2) 青少年期まで遷延した滲出性中耳炎後の鼓膜穿孔に対する鼓室形成術は予後不良であつた.
    3) 聴力改善が不十分な症例は高度な鼓室硬化症であつた.
  • 術式による術後成績について
    坪井 陽子, 松元 一郎, 森満 保, 東野 哲也, 牧野 浩二
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 833-839
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳硬化症症例81例104耳に対しておこなつたアブミ骨手術をtotal stapedectomyとpartial stapedectomyとに分類し術後成績を比較検討した. 会話音域4分法平均での術後のAB-gapはtotal stapedectomy群では5.7dB, partial stapedectomy群では4.0dBであつた, 術後の聴力改善率はtotal stapedectomy群では83.8%, partial stapedectomy群では91.7%であつた. 聴力改善においてpartial stapedectomyの方がやや勝る傾向があつたが統計学的な有意差は認められなかつた. 長期観察では両群ともAB-gapの有意な変化は認められなかつた, 術後感音難聴はtotal stapedectomy群の4, 8%, partial stapedectomy群の1.8%に認められた. 以上, 長期予後を含めて数値上はpartial stapedectomyが勝るものの有意差はほとんどなく, 両術式とも良好な結果が得られた.
  • 牧野 浩二, 松田 圭二, 坪井 康浩, 外山 勝浩, 東野 哲也, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 840-847
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    宮崎医大耳鼻科で1980年より1995年までの間に手術を行つた外耳道閉鎖症105耳 (男64人, 女27人, 右側58耳, 左側47耳) の術中所見と手術成績について検討した. 平均術前聴力は気導68.0dB, 骨導15, 2dB, 気骨導差52, 8dBであつた. 術中の鼓室所見は正常74%, 炎症12%, 発育不良7%, 開放不能6%であつた. 術中得られた耳小骨の形態所見は槌骨は正常20%, 変形56%, 無し11%, 砧骨は正常50%, 変形48%, 無し2%, 鐙骨は正常63%, 変形24%, 無し13%であつた. 耳小骨の固着例は槌骨51%, 砧骨10%, 鐙骨17%, 砧鐙関節離断例は24%であつた. 平均術後聴力は気導51.8dB, 骨導13.5dB, 気骨導差38.3dBであつた. 鼓室形成術法別の術後聴力レベルは0型63.0dB, 1型48.2dB, 2型62.1dB, 3型変法51.0dBであつた. 術後聴力レベルは術中の鼓室の所見, 槌骨, 鐙骨の可動性所見別には有意差を認めなかつた.
  • 狩野 季代, 森満 保, 東野 哲也, 牧野 浩二, 柊山 幹子, 松元 一郎
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 848-853
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    外耳道・鼓膜正常な先天性伝音性難聴症例, 61例, 74耳を対象とし, 手術成績について検討した. 連鎖再建が行えた60耳中47耳 (78%) が成功例であり, 特にアブミ骨固着群 (92%) やキヌタ骨長脚欠損群 (95%) では高い成功率であつた. 不成功例には前庭窓開窓不能例, アブミ骨可動性確認不足が考えられる例などがあるが, 術後1年半以上経過してから聴力が低下した症例もあり, 術後は長期の経過観察が必要である. 連鎖再建を行えなかつた14耳の原因としては, 顔面神経の走行異常, 滲出性中耳炎, 年齢による問題, 内耳窓欠損などがあげられる. 不成功例とともに改善の可能性のある小児の症例は将来的に再手術をする予定である. 全症例の65%がアブミ骨に関連する奇形であつたが, アブミ骨の可動性, 底板の有無, 内耳窓形成の程度, 顔面神経との位置関係などが連鎖再建の鍵を握ると考えられた.
  • 永井 知幸, 浅見 鳴子
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 854-857
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭部外傷および経外耳道性外傷後数年して発症した伝音難聴2症例を経験した. 鼓室試開では両症例ともアブミ骨が傾き, 前庭窓窩の上壁あるいは下壁とアブミ骨の脚が癒着しているのが確認された. 手術により聴力は著明に改善し, 耳鳴りも消失した. 外傷性伝音難聴症例では, 受傷後時間が経過していても, 耳鳴り, 感音難聴, めまいなどが改めて発症, 増悪したときは, アブミ骨に異常があることを考え, 鼓室試開を行い, 検索することが必要と考える.
  • 宮永 さとし, 稲葉 順子, 井藤 健, 竹中 美香, 市原 次郎
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 858-862
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    乳突蜂巣の発育はよく, 手術によりtympanic isthmusの開存とPrussak腔の炎症性肉芽と真珠腫を確認できた8歳1歳の姉妹の症例を経験した.
    妹の症例ではPrussak腔に内陥進入した上皮はlateral mallear foldで遮られ上鼓室には入っていない事, Prussak腔の底から中鼓室に進入していた事, それと姉ではPrussak腔からlateral mallear foldを越え上鼓室にも入り中鼓室にはやはりPrussak腔の底から槌骨柄や鼓索神経, 砧鐙関節にまでおよんでいた事, これらのことを考えるとこの二症例はPrussak腔に限局性に起こる陰圧が鼓膜弛緩部の陥凹を招き真珠腫発生につながる様子を経時的に表していると考えられる.
  • 井藤 健, 宮永 さとし, 稲葉 順子
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 863-866
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは臨床所見, 画像診断上で診断困難なツチ骨固着症を経験した. 症例は5歳男性左耳漏, 左伝音難聴を認め, 鼓膜弛緩部肉芽, およびCTの軟部陰影より真珠腫性中耳炎による耳小骨破壊をひきおこしたと考え手術を施行した. しかし手術所見では, 真珠腫による耳小骨破壊はなくツチ骨頭と上鼓室側壁との固着が認められた. 中耳炎の長期罹患がなくかつ進行性の難聴もなく, ツチ骨前靭帯炎症性瘢痕, 化骨所見のないことより, 先天性ツチ骨固着症と診断した.
  • 鍋倉 隆, 春田 厚, 松浦 宏司, 東野 哲也, 森満 保
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 867-873
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    拍動性耳鳴を主症状とした側頭骨グロームス腫瘍の3症例を報告した. 全例に手術のみを施行し, 放射線治療は用いなかつた. CT, MRI, 血管造影で術前診断ができた鼓室型腫瘍, 頸静脈球型腫瘍に対しては腫瘍全摘出術が可能であつたが, 画像診断が不十分で頸静脈球型か鼓室型か鑑別困難であつた初期の1例では再発をきたした. 診断には問診, 耳鏡所見の他, インピーダンスオージオメトリーの所見も参考になるが, 治療を行うにあたつてCT, MRIなどの画像診断による腫瘍伸展範囲の術前評価が重要であることがわかつた.
  • 大迫 廣人, 山崎 正幸, 下薗 政巳, 東野 哲也
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 874-879
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳性頭蓋内合併症すなわち髄膜炎と側頭葉膿瘍の2症例を経験したが, いずれも耳疾患があるにもかかわらず他科医にて先ず頭蓋内病変に対し診断・治療がなされ耳鼻科受診が遅れた症例である. 症例1は真珠腫による感染が内耳炎を経て二次的に頭蓋内に波及し髄膜炎を引き起こした症例であり, 症例2は癒着性中耳炎を基礎疾患に乳突洞内の慢性炎症による肉芽などが骨を融解し硬膜外膿瘍さらには脳膿瘍を形成した症例である. CTおよびMRIの画像診断の目覚ましい進歩により, 中耳からの炎症波及経路が明確に描出されるようになり早期発見, 早期診断に耳鼻科医ならずとも大きな役割を担うのではないかと思われた.
  • 清水 謙祐, 春田 厚, 牧野 浩二, 東野 哲也
    1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 880-885
    発行日: 1996/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    他覚的不随意的筋性耳鳴の2症例を経験した. 5歳男子症例の耳鳴は2kHz付近にピークをもつクリック音で, 耳鳴に一致して鼓膜内陥, 中耳コンプライアンスの変化, 耳管の開放が観察された, また, 45歳女性症例の耳鳴は500Hz付近にピークをもち, 耳鳴に一致して軟口蓋の痙攣が観察された. これらの事により耳鳴の原因は, 症例1では口蓋帆張筋と鼓膜張筋, 症例2では口蓋帆挙筋の間代性痙攣によるものと推察された.
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