耳鼻と臨床
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丹参(salvia miltiorrhiza)注射の耳科学的検討
第1編: 突発性難聴に対する治療効果
鄭 鴻祥大崎 勝一郎王 慶春上野 満雄
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1998 年 44 巻 6 号 p. 764-770

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抄録

丹参 (salvia miltiorrhiza) の突発性難聴 (以下、突難) に対する治療効果を検討するため、北京医科大学人民医院耳鼻咽喉科を受診し、丹参(15g/日)と低分子デキストラン500mlの点滴注射を受けた65例の突難症例を対象にした。また、対照群にはステロイド剤の注射あるいは内服をうけた日本および北京の突難症例69例である。今回、治療法別ならびに突難の予後に影響を与えると考えられている要因5項目: めまいの有無、発病より治療開始までの日数、初診時におけるオージオグラムの平均聴力レベル、聴力型と高低音差を選び、丹参群と対照群の治療効果について比較した。以下にその結果を記す。(1)丹参群とステロイド群の治療効果の分布には有意の差がみとめられなかった(X2-検定)。(2)聾型を示した突難群において、丹参群の改善率はステロイド群のそれよりも高い傾向を示した(Fisher's test、P≥0.1)。(3)丹参群のめまいを随伴する群と随伴しない群の間では、治療効果に有意の差は認められなかった(Fisher's test)。以上より、丹参の静脈内点滴は突難に対して有用な薬剤の一つであることが示唆される。

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