耳鼻と臨床
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甲状腺髄様癌の1例
工藤 貴之菊地 俊彦香取 幸夫藤原 浩子志賀 伸之湯田 文朗野村 隆遠藤 里見
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1999 年 45 巻 1 号 p. 29-33

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抄録
甲状腺髄様癌は比較的稀な腫瘍である。その特徴として、カルシトニンやcarcinoembryonic antigen (CEA) を分泌すること、家族性の発症、多発性内分泌腫瘍症 (MEN) の2 型の合併などが知られている。今回われわれは甲状腺髄様癌の症例を経験した。症例は 41歳、女性で腫瘍は甲状腺両葉に多中心性に発生しており、頸部リンパ節転移も認められた。甲状腺全摘と右側頸部郭清術を施行した。本症例においては甲状腺腫の家族歴があり、遺伝性の髄様癌が疑われた。現在では甲状腺髄様癌の原因遺伝子が同定されており遺伝子診断が可能であるが、実施にあたっては倫理的および社会的要因を熟考する必要がある。
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