抄録
MALT lymphomaは消化管特に胃に好発するが、頭頸部領域では唾液腺、甲状腺、眼窩に発症することが知られている。今回われわれは両側耳下腺に発症したMALTリンパ腫を経験した。MRIでは両側耳下腺内にT2強調像にて高信号を呈する境界明瞭で分葉状の腫瘤として描出され、Gaシンチにて淡い集積を認めた。左耳下腺浅葉切除術を施行し、病理組織学的所見からMALT lymphomaと診断された。術後両側耳下腺部に放射線46Gy照射し、さらにCHOP 1クールを施行した。MALT lymphomaは緩徐進行性で、予後良好とされているが、疾患概念も新しく、治療法も確立していないため、今後長期的な経過観察が必要と思われた。