抄録
前回、スギ花粉症240例を対象に、世界的に認知されたHRQOLであるSF-36調査表を用い、スギ花粉飛散ピーク時のQOLを検討、報告した。今回は前回と同様な対象でQOLに影響を与える背景因子などをさらに細かく解析した。罹病期間とは一定の関係は見られなかった。受診回数の関係では、回数が多い症例ほどQOLスコアは低下を示した。合併症との関係では前回と同様QOLに極めて影響を与えるという成績が得られ、疾患数が増すほどQOLスコアは低下する傾向が見られた。QOLと喫煙、飲酒との関係では、両者に違いが見られた。すなわち、喫煙はQOLに影響を与えない結果であったのに対し、飲酒ではいずれのサブ・スケールでも飲酒する群では飲酒しない群に比較しQOLスコアは高値を示していた。職種では、全体としてはほとんど違いが見られなかったが、GH、REでは学生で最もQOLスコアは低く、VT では無職が最も高いなどの成績が見られた。外出機会の頻度、学生では受験、試験などと関係しているのかもしれない。以上のように、スギ花粉症においてもQOLへの影響は少なくなく、このような面を考慮して患者の治療、生活指導に当たっていくことが重要と思われた。