接着歯学
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前臼歯対応フッ素徐放性インジェクタブルレジンBeautifil Flow Plus の基礎的性能と臨床応用
田島 賢一杉崎 順平森上 誠宇野 滋山田 敏元
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 29 巻 2 号 p. 60-68

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抄録
インジェクタブルレジンが臨床で広く用いられるようになってきているなか,S-PRG 技術を応用した新しいフッ素 徐放性インジェクタブルレジンBeautifil Flow Plus F00,F03(松風)が市販された.このレジンはその適度な流動 性や操作性を保ちつつ,しかもナノフィラーを高密度に充填することによって高い機械的強度をもつため,前歯部の みならず臼歯部への応用が可能になっている.今回われわれはこのインジェクタブルレジンを用いてまず硬化物研磨面のSEM 観察,曲げ強さと圧縮強さの測定,抜去歯を用いた操作性の評価,ならびに外来患者に対する臨床応用を行った.その結果,Beautifil Flow Plus はガラスフィラーの間に0.8μm 程度の球状フィラーと細かなS-PRG フィラーが高密度に充填されているのが確認された.Beautifil Flow Plus F00,F03 の3 点曲げ強さは約130MPa とBeautifil Flow F02,F10 より有意に高くBeautifilⅡ と同等の値を示し, 圧縮強さは約350MPa とBeautifilⅡ より有意に高く Beautifil Flow F02,F10 と同等の値を示した.抜去歯を用いた操作性の評価や臨床応用からBeautifil Flow Plus はその適度な流れとペーストの硬さによって良好な臨床操作性を示すとともに単独で審美的な修復処置を行うことが可能であることが示唆された.
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© 2011 一般社団法人日本接着歯学会
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