耳鼻と臨床
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耳性小脳膿瘍の1例
嘉数 光雄宇良 政治安田 忍真栄田 裕行野田 寛
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2001 年 47 巻 1 号 p. 1-4

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抄録
42歳男性の耳性小脳膿瘍を経験した。頭痛および右耳の違和感があり、近医耳鼻科で慢性中耳炎として加療されるも、歩行時のふらつき感が出現したため脳神経外科を受診し、頭部CTで小脳膿瘍を指摘された。水頭症の合併も示唆されたため、当院脳外科で緊急に膿瘍摘出術を施行された後、当科で乳突洞削開術および鼓室形成術を行い、術後の聴力も改善した。最近は、中耳炎などで早期から抗生剤が投与されるため、発熱などの炎症所見は乏しくなり、本症例のように持続する頭痛が続いていたにもかかわらず重症感に乏しく頭蓋内合併症の存在に気付かれない事がある。早期の発見のためには、神経症状に先立って持続する頭痛に注意して、常に頭蓋内合併症の危険性を念頭に置かなければならない。
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