耳鼻と臨床
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ミトコンドリア脳筋症例に対する人工内耳
新谷 朋子氷見 徹夫岡崎 聡子緒方 悦子縫 郁美本間 朝小西 正訓高橋 正昭中川原 譲二
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2002 年 48 巻 4Supplement2 号 p. S126-S131

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抄録
ミトコンドリア脳筋症は、骨格筋内に組織学的な異常形態を示すミトコンドリアが多数認められ種々の中枢神経症状を伴った疾患の総称である。ミトコンドリア脳筋症の40 -60%に難聴が伴う。当科で手術施行した90名の人工内耳装用患者のうち3名の失聴原因はミトコンドリア脳筋症で、1例にクラリオン®人工内耳、2例にコクレアN22®の埋め込み手術を行った。クラリオン®人工内耳挿入例では、選択した要因としてスピーチプロセッサーのスイッチ類が大きいなどの操作性が良いことを挙げていた。クラリオン-S®人工内耳は、挿入前より電極が回転しているのに加えてポジショナーの使用によってさらに蝸牛軸に接し深く電極が設置される。使用例では抵抗なく360度電極挿入され、ポジショナー留置によってより蝸牛軸に沿って深い挿入が可能であった。ポジショナー挿入によって効率よい電気刺激が行えることが期待された。刺激前後の脳SPECT画像では、側頭葉の言語野に一致して脳血流の賦活が認められた。
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