2002 年 48 巻 4Supplement2 号 p. S132-S136
既に人工内耳手術を受けて比較的良好な聴覚を有していたが、追加的に新しい人工内耳デバイスの埋め込み手術を受けて両耳装用を開始した症例を経験したので、その経過と効果を報告する。この症例では全く異なる二種類のデバイスを埋め込んでの同時使用であり、音声の聴取能力に関して果たして何らかの改善が得られるかどうか疑問があったが、自覚的にも、また言語聴取テストでも、一側のみの使用時に比べて改善効果が認められた。人工内耳の両側埋め込みは、音声情報伝達チャンネルを拡大するための一つの方法として、今後も前向きに考慮していくべきであると考えられた。