抄録
ポジショナーを用いたクラリオン16® (Clarion16®) 人工内耳埋め込み手術を2 例経験し、ポジショナー挿入に際して微細ファイバースコープを用いた蝸牛内視鏡検査を試みたので、その有用性を報告した。2症例ともポジショナーの使用により電極は確実に蝸牛軸に近接し、電極先端もより頂回転側まで挿入された。このような電極位置の言語聴取能に及ぼす影響に関しては今後の検討を要するが、その理論的根拠とこれまでの報告から言語聴取能が改善する可能性があり、今後広く検討する必要があると考えられた。また、ポジショナー挿入の支障となる蝸牛管の狭小化などの検出には微細ファイバースコープを用いた蝸牛内視鏡検査が有用であると考えられるが、この検査法が普及するためには、そのフレキシビリティなど、内視鏡の改良が不可欠であると考察した。