抄録
1988年から2001年までの14年間に、久留米大学病院耳鼻咽喉科で手術を行った耳硬化症症例29例、40耳について検討した。術前平均聴力は40耳の平均で53.5dBであった。stiffness curveが40耳すべてで、Carhart's notchが40耳中22耳でみられた。ティンパノグラムはA型、As型が多かったが、他の型も少数ながらみられた。手術は全例stape dotomyを行った。術後聴力レベルは73%で30dB以内に改善した。また、95%で15dB 以上の聴力改善がみられた。術後の気導骨導差は90%で15dB以内に改善した。骨導聴力も1kHz、2kHzで軽度の改善がみられた。耳硬化症は手術により高率に改善することができるので、発見したら積極的に手術を勧めることが患者のQOLの向上につながると考えられた。