耳鼻と臨床
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仙台市の一般住宅における室内塵中のダニ類の調査
高岡 正敏程 雷股 敏三好 彰
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2003 年 49 巻 4Supplement2 号 p. S113-S122

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抄録

宮城県仙台市内の一般家庭22家屋を対象に、1999年2月 (冬季) 、5月 (春季) 、8月 (夏季) 、11月 (秋季) に室内塵を採取し、その中のダニ数およびダニ相の調査を行った。ダニ調査のための室内塵採集は、各家庭の主婦によって掃除機で1週間採集されたもの、さらにわれわれ自身が各対象家庭に赴いて、主に寝具および床を調査対象として、同一掃除機にて一定条件で採集した。1週間分の室内塵から検出された1g当たりの平均総ダニ数 (平均チリダニ数) は、2月 (n=18) が443、1 (272.9) 個体、5月 (n=18) が556.3 (313.1) 個体、8月 (n=15) が1, 827.1 (1, 479.9) 個体、11月 (n=14) が333、4 (193.4) 個体であった。今回の調査で、年間を通じてチリダニ類が最も数多く検出され、四季を通じて 8月が最も多く、11月が最も少なかった。これに対して、四季を通じて同一家庭で調査された11家庭についてみると、多くのダニ類は8月 (夏季) に最高値を示し、全体での平均総ダニ数および平均チリダニ数は、夏季 (8月) 春季 (5月) 秋季 (11月) 冬季 (2月) の順となった。また、同一家庭で個別にチリダニ数の季節消長をみると、1例を除いて、すべての家庭で8月をピークとする季節消長を示し、また夏季にダニ数が多く検出される家庭は、どの季節でも多い傾向を示した。また、四季を通じて1回採取による室内塵から検出された1平方メ-トル当たりの平均総ダニ数 (平均チリダニ数) は、2月 (n=48) が29.8 (23.5) 個体、5月 (n=48) が43.3 (32、4) 個体、8月 (n=41) が72.2 (65.7) 個体、11月 (n=57) が45.6 (41.8) 個体であった。また、これらのダニ数を採集塵1g当たりに換算してみると、2月が997.0 (736.6) 個体、5月が2, 172, 9 (1, 251.4) 個体、8月が2, 897.6 (2, 395.4) 個体、11月が1, 120.3 (1,000.9) 個体となった。検出されたダニの種類およびダニ数は調査家屋および場所によって大きな差がみられたが、各家庭のダニ相およびダニ数は、どの調査時期においてもチリダニが全体の70%以上検出され、次にホコリダニが多く、そのほかササラダニ類、コナダニ類、ニクダニ類、ツメダニ類、中気門類が比較的多数検出され、1週間分の採集塵から検出されたものとおおむね類似した。ダニ相およびダニ数について場所別にみると、調査場所および各床における素材の違いによって差がみられ、寝具のダニ数は、床から検出されたダニ数より多く、全体の2倍以上の検出となった。また、寝具から検出されたチリダニの占める割合は、床のそれに比べて高率であった。これに対して、チリダニ以外のダニ類は、床が寝具に比べ数多く見いだされ、その種類も多種におよんだ。

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