耳鼻と臨床
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顎関節症に伴う耳閉塞感の成因について
多田 直樹南 豊彦中川 のぶ子浜野 巨志小野 あゆみ井野 千代徳金子 明弘山下 敏夫
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2004 年 50 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

顎関節症にはさまざまな全身症状の合併が認められ、中でも耳閉塞感をはじめとする耳症状の合併は古くから報告されているが、その成因に関してはいまだに明確ではない。今回われわれは顎関節症患者76名を対象として、まず耳閉塞感を訴えた患者の割合を算出し耳閉塞感の有無それぞれの中で顎関節症のI型からIV型まで分類した。次に耳閉塞感を伴う顎関節症患者に対して耳管機能検査を施行した。その結果耳閉塞感を訴えた症例が44名 (57.9%) で、耳閉塞感を訴えなかった症例は32名 (42.1%) であった。また耳閉塞感のあった症例での顎関節症の分類はIII型が最も多く、I型、IV型はわずかであった。一方耳閉塞感のなかった症例は耳閉塞感のあった症例と比較してIII型がわずかで1型が大きな割合を占めていた。耳管機能検査は耳閉塞感を伴う顎関節症患者44名中37名に施行した。その結果37名中23名 (65%) が開放パターン、1名 (3%) が狭窄パターン、13名 (32%) が正常パタ-ンであった。今回の検討結果から顎関節症に伴う耳閉塞感の原因は耳管開放症によるものと思われた。

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