耳鼻と臨床
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プロトンポンプ阻害剤投与歴のある咽喉頭異常感症に対し投与法、生活指導など工夫することにより改善を認めた2例
松原 英俊田村 祐樹寺田 雅彦三ッ浪 健一大脇 成広片岡 健一片岡 英幸
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2004 年 50 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

咽喉頭異常感症は外来で多く認められる症状であり、咽喉頭および上部消化管の明らかな局所病変がない場合、胃食道逆流症は最も考えるべき咽喉頭異常感症の病因の一つである。診断法としては現時点では治療的診断法が最も感度が高く一般外来で有用である。しかし治療的診断法はその治療が不十分である場合には診断できないことがあり、治療反応性が悪いのは、正しい診断ではなかったのか、不十分な治療がなされているのか判断できない。また本邦では十分量のプロトンポンプ阻害剤が使えないなど保険診療の限界もあり診断困難な疾患である。今回われわれはプロトンポンプ阻害剤の投与歴があり無効であったにもかかわらず、多剤併用療法を用い、さらに当科独自の症状日誌を有効活用し生活習慣改善を指導し、長期間かけ治療することで奏功した2症例を経験した。咽喉頭異常感症を治療するに当たっては薬物療法のみに頼らず、個人の生活習慣に応じて包括的な医療を施し、客観的に症状経過を観察する必要があると考えられた。

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